左下の親知らずの抜歯
今日は左下の親知らずの抜歯のお話です。
今回の患者様は、1週間程前に左下の親知らずが腫れて痛みがあるために来院されました。
お口の状態を確認すると、左下の親知らずは歯茎に埋まっており、全く見えません。
続いてパノラマ写真とCT撮影をして、親知らずの状態と下顎を通っている神経管の位置等の詳しい解析を行います。
画像を確認したところ、この親知らずはとても歯茎の中のとても深い位置に手前の歯の根っこと押すように埋まっていました。
下顎を通る太い神経とも重なっていたため、抜歯は困難になることが予想されました。
その日はお仕事が忙しいため抜歯は希望されず、膿を出す処置を行いました。
そして今回、左下の抜歯を行うことになりました。
今回の抜歯は、「2回法」という方法で行う予定となりました。
2回法とは、初回の処置でまず親知らずを2分割して、歯冠の部分のみを取り除き、その日は一旦終了します。
除去したスペースに、残った根の部分が神経から離れるように移動してきた後(通常3ヶ月~6ヶ月後)、2回目で残りの歯根の部分も抜去するという方法です。
処置を2回に分けることで、神経を傷つけるリスクが減り、安全性が高まります。
脈拍や血圧、酸素飽和度を測り体調を確認し、抜歯の注意事項をお伝えして、さっそく抜歯開始です。
まずは親知らずは歯ぐきの下に隠れている状態なので、歯ぐきを切開していきます。
親知らずの周りの骨を最小限削っていき、抜いていくスペースを作ります。
そこから親知らずの頭を輪切りにするように歯冠を切断して取り除きました。
しかし、この時すでに根っこの部分も動揺している事が確認できたため、引き続き根っこを分割して慎重に抜いていきました。
穴が開いた部分には骨を造るお薬を入れ、傷口を縫合し抜歯終了です。
抜き残しもなくスッキリと抜けました!
下顎の親知らずの抜歯の場合、歯根が下顎の神経に非常に近いケースでは、しびれた感じか6ヶ月ぐらい継続する症例が200例に1例ほどの割合で起こることがあります。
数時間後に抜歯後の症状の確認のお電話をしたところ、痛み、出血があるとのことでしたが、翌日、消毒に来院された際は、症状は落ち着いているとのことで一安心です。
おつかれさまでした。