「口腔内の細菌」その2
みなさん、こんにちは。伊藤歯科医院カワニシです。
前回の「口腔内の細菌」についてのお話の続きです。
歯の表面積は口の中で約25%を占めています。
そこをきちんとケアしたうえで、舌、頬粘膜、歯ぐきなど、残りの約75%をケアすることがとても重要です。
この部分に細菌が残っていると、歯に付着して増殖してしまうからです。
口の中の細菌を減らすには、歯だけでなく舌や粘膜なども含めた「口の中全体のケア」が必須です。
歯に関しては、自分の歯と歯の間や詰め物の周り、歯並びのそろっていないところなど、むし歯や歯周病になりやすく、細菌がたまりやすい部位を把握して毎日セルフケアを行い、歯面から細菌を落とすことが重要です。
セルフケアでは、デンタルフロスを歯茎の下1~2ミリくらいまで入れてしっかり汚れをかき出したり、ワンタフトブラシや、先細の毛先のブラシを使って歯磨きを行うのも良いでしょう。
では、舌や頬粘膜、歯茎にはどのようなアプローチが効果的なのでしょうか?
歯ブラシでこすって落とすことは、粘膜を傷つけてしまいますし、細菌を落とす効果も期待できません。
水でゆすいでも、口の中に潜む細菌は粘着性があるため落ちません。
口腔内環境改善のための洗口液は、歯と歯の隙間や、歯並びの悪く歯ブラシが届きづらいところにも入り込み、口の中全体に行き届き、歯や舌、歯ぐきなどに潜む細菌を引きよせて一緒に吐き出すことができます。
歯磨きで歯の表面からはがれた細菌の一部は、うがいで吐き出されます。
しかし、細菌は口の中を漂い、再び歯や粘膜にくっついて増殖を始めてしまいます。
続けていくことで少しずつ細菌の数が減り、口の中がキレイになっていきます。
口の中がキレイになると、唾液に含まれる細菌量も減って「キレイな唾液」になります。
そのキレイな唾液が口の中に行き渡ることで清潔が保たれ、長時間細菌が少ない状態を保つ相乗効果が生まれます。
専用のブラシで舌のケアの行うと、頑固な舌苔を熊手で掻き出すように取り除くことができます。
舌の表面にべったりと付着した舌苔は、実は生きた細菌が大集合したもの。
歯をきれいに磨くだけでは、細菌がたくさんお口の中に残ってしまいます。
口の中の細菌は、1日の中で増減を繰り返しています。