歯周病と心筋梗塞
こんにちは、広報・受付担当トガワです。
歯科医療はお口の中の健康だけでなく、健康寿命をのばすための医療として考えられるようになってきました。
このブログでも何度か歯周病と全身疾患との関係をご紹介してきましたが、歯周病の予防は全身疾患の予防につながる可能性があるのです。
1989年に、歯周病と虚血性心疾患の関係が報告されて以来、ささまざまな論文で歯周病と心疾患の関連性が報告されてきたそうです。
しかし2012年にアメリカの心臓協会(American Heart Association,AHA)で、歯周病が虚血性心疾患の発症や進行に影響を及ぼすという十分な根拠がないと報告されたそうです。
これに対して翌年の2013年に、歯周病が将来的な心血管疾患の発症のリスクを増加させるという確かな疫学的証拠があると報告されました。
さて、どちらの見解が正しいのでしょうか?
2016年にアメリカの心臓協会の機関誌『Circulation』で、「歯周病が初回心筋梗塞患者のリスクを増加させるか」という研究の論文が報告されました。
この研究は、初回心筋梗塞患者805名と性別や年齢をマッチさせた対照者805名を対象とした症例対照研究です。
X線写真で判定した歯周病の程度(健常・軽度~中等度・重度)と、初回心筋梗塞の関係が検討されています。
歯周病有病率は、健康な対照者と比べて初回心筋梗塞患者が1.49倍高いことが報告されています。
さらに交絡因子(糖尿病・喫煙・教育年数・婚姻状況)で調整して、無歯例を加えても、1.28倍の差があったそうです。
この研究論文は、歯周病患者では初回心筋梗塞リスクが有意に高いことが示され、歯周病が心筋梗塞リスクに直接関係する可能性を支持するものとなりました。
健康寿命を延伸するためには、歯周病と全身疾患の関わりを知っておくことも大切です。
お口の健康から全身の健康につながるように日々セルフケアも怠らずに頑張りましょう!