口腔機能発達不全症
みなさんこんにちは。伊藤歯科医院カワニシです。
今日は「口腔機能発達不全症」についてのお話です。
「口腔機能発達不全症」とは、15歳未満の小児で障害がないにも関わらず、食べる、話す、呼吸するなどの口の機能が十分に発達していない状態をいいます。
「食べる機能」、「話す機能」または「呼吸する機能」が十分に発達していなかったり、正常に機能獲得ができていない状態で、あきらかな摂食機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の発達において個人因子あるいは環境因子に専門的な関与が必要な状態を「口腔機能発達不全症」といい、新病名として健康保険が適用されるようになりました。
日本歯科医学会のHPには、「小児期の口腔機能はつねに、機能の発達・獲得の過程にあり、各成長のステージにおいて正常な状態も変化し、機能の発達が遅れていたり誤った機能の獲得があればその修正回復を早い段階で行うことが重要である」という基本的考え方が掲載されています。
これまではあきらかな摂食嚥下障害の原因疾患がないお子さんの場合、摂食機能療法の対象外となってしまい、医療的な対応を行うことができませんでした。
しかしいわゆる定型発達児(健常児)においても、「食べること」、「話すこと」がうまくいかない場合も少なくありません。
知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合が6.5%にのぼるという調査結果もあります。
また、早産・低体重児の場合は、全身の発達や摂食を含む口腔機能発達に医学的な不安定さがあるといわれています。
低出生体重児の母親では、離乳の開始時期を判断するのが難しく、離乳を始めていく場合、時期に応じた適切な指導が必要とされています。
お子さんの食の問題はさまざまで、経過を見守っていれば自然に解決する場合もあれば、特別な介入が必要になる場合もあります。
口腔機能発達不全症の診断では、食べる、話などの機能の発達不全に対して、正常な機能獲得の妨げになっている原因があればその治療を行い、その後正常な機能獲得のための指導が行われます。
期間は6ヶ月間が基本とされています。
以下の17項目で判断されます。
【食べる機能】
■咀嚼機能
1.歯の萌出に遅れがある
2.機能的因子による歯列・咬合の異常がある
3.咀嚼に影響するう蝕がある
4.強くかみしめられない
5.咀嚼時間が長すぎる、短すぎる
6.偏咀嚼がある
■嚥下機能
7.舌の突出(乳児嚥下残存)がみられる(離乳完了後)
■食行動
8.哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりムラがある等
【話す機能】
■構音機能
9.構音(発音)に障害がある(音の置き換え、省略、歪み等がある)
10.口唇の閉鎖不全がある(安静時に口唇閉鎖を認めない)
11.口腔習癖(指しゃぶり、爪をかむなど)がある
12.舌小帯に異常がある
【その他】
■栄養(体格)
13.やせ、または肥満である(カウプ指数・ローレル指数で評価)
14.口呼吸がある
15.口蓋扁桃等に肥大がある
16.睡眠時のいびきがある
17.上記以外の問題点
お子さんのことで気になることがあればお気軽にご相談くださいね。