口腔がん
みなさん、こんにちは。伊藤歯科医院カワニシです。
今日はお口の中の怖い病気、「口腔がん」についてのお話です。
近年、日本における喫煙率は減少傾向にあるといえます。
しかしその一方で、口腔・咽頭がんは30年前と比較して4倍以上に上昇しているそうです。
喫煙や飲酒などの生活習慣は、発がんの過程の大きな病因といわれていましたが、どうやら原因はこれだけにとどまっていないのではないか、ということが分かります。
一般的に口腔がんの病因は、生活習慣の他にも口腔内の不衛生、栄養バランス、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、適合の悪い入れ歯、歯の鋭縁による慢性的な刺激などが挙げられています。
現在では女性、若年者、口腔衛生良好者、非喫煙者にも口腔がんが増加しており、これは世界的な現象といわれています。
このことにいち早く気づいたのがアメリカの歯科医師会で、「口腔がんは高齢者だけの病気ではない、女性、若年者、非喫煙者も気をつけよう」という口腔がん予防ポスターが作られたそうです。
日本においても、口腔がんの女性罹患者の増加が目立ってきています。
これには、女性の平均寿命が男性よりも長く、100歳以上の8割以上を女性が占めているため、高齢者における口腔がんは女性が罹患することが多くなっていると考えられています。
もう1つの特徴として、20代30代における女性罹患者の増加も挙げられています。
喫煙や飲酒、不潔な口腔衛生状態などの要因が無くても罹患する人が増えているそうです。
それにはホルモンの関係、ストレスなどの精神面の負担などが影響していると考えられています。
また、歯列狭窄や転位歯などの慢性的な刺激がかかる口腔内環境であれば、とくに舌などの褥瘡となる部位にがんが発症しやすいことがわかっています。
口腔がんは、前がん病変などを経てがん化する多段階発がん機構に則っているので、DNAの異常が起こってからがん化し、目視できる病態になるまで10年以上かかるといわれています。
しかし若年者での口腔がんが増加していることから、多段階発がん機構だけではない新たな要因の存在がいわれています。
食品添加物や化学物質、放射線曝露など色々な要因が考えられています。
口腔がんは早期発見が大切です。
早期に発見することで、治癒率は高くなります!
早期発見するためにも、生活習慣の見直しを行い、セルフチェックや定期的に歯科医院に通ってお口の中を確認してもらいましょう!