お口の病気と肝炎
みなさん、こんにちは。
伊藤歯科医院カワニシです。
肝臓は感染していても日常生活に支障が出ることが少ないこともあり、沈黙の臓器と呼ばれています。
肝臓に感染して肝炎を起こすウイルス性肝炎には、A~Eまでの種類があるといわれています。
A型とE型肝炎は主に食物から感染するもので、急性肝炎の原因となります。
A型とE型肝炎のほとんどは持続感染になることはなく、一過性のものとなります。
しかし急性肝炎はまれに重症化することがあり、重症化したものを劇症肝炎といいますが、劇症肝炎を発症すると死亡率が高いといわれています。
急性肝炎が劇症肝炎となる原因はわかっていないそうです。
歯科で問題になるのは一般的にはB型肝炎とC型肝炎です。
B型肝炎やC型肝炎は血液や唾液などの体液を介して感染します。
またA型肝炎やE型肝炎のように一過性ではなく感染が持続化することが多いのが特徴です。
B型肝炎とC型肝炎の持続感染を放置していると、肝硬変に移行することがあり、肝がんが発症しやすくなるため注意が必要です。
さてお口の中で起こる病気で、肝炎に関係しているものがあります。
扁平苔癬といって、皮膚や粘膜に現れる慢性の角化異常を伴う疾患です。
40~50歳代以降の女性に多く見られるといわれています。
お口の中の粘膜に多く見られ、舌や唇にも生じます。
粘膜が白く角化したものがレース状にみられ、周囲が赤く腫れるようになります。
びらんや潰瘍を作ることもあり、触れると痛みがあったり食べ物がしみることがあります。
また扁平苔癬は難治性で、粘膜にできたものはまれにがん化することもあるそうです。
そんな扁平苔癬ですが、発症している患者さんの多くが肝臓に疾患があることがわかっています。
その中でもC型肝炎ウイルスが見つかることが多く、C型肝炎を引き起こす原因となります。
このため、口腔扁平苔癬は肝外病変のひとつと考えられています。
お口の病気はまずは歯医者さんに診てもらうことがいちばんですが、扁平苔癬と診断された場合には、一度消化器内科などの専門の病院などを受診するようにしてくださいね。