加齢とともに起こるリスク
みなさん、こんにちは。伊藤歯科医院カワニシです。
今日はお口の中の「加齢とともに起こるリスク」についてのお話です。
唾液の減少
加齢によって唾液の分泌量が減少すると、口腔内の免疫機能が低下し、細菌による感染リスクが高くなります。
唾液には、歯の表面や歯の間に付いた歯垢や食べカスを洗い流す作用、消化を助ける作用、抗菌作用、粘膜を保護する作用、粘膜を修復する作用、食べ物をのどに通りやすい形状に処理する作用、酸性に傾いたお口の中を中性に回復させる作用、再石灰化作用、潤滑作用など、たくさんの働きがあります。
多方面から私たちの健康を守ってくれている唾液の分泌量が減少すると、むし歯、歯周病にとどまらず、たくさんの疾患リスクが高まります。
唾液の分泌量は「口の渇きが気になる」「固い食べ物が食べにくくなった」「義歯がすれて痛い」などの自覚症状があることが事前に分かれば、比較的、簡単なケアで状態の悪化を防ぐことができます。
唾液の減少は、むし歯や歯周病の悪化を引き起こすだけでなく、全身疾患にも繋がる重要なサインであることを認識しておきましょう。
歯肉の退縮
加齢とともに歯槽骨が痩せ、歯肉退縮がおこり、歯根が露出します。
露出した象牙質は摩耗して脆弱な状態になり、根面う蝕(露出した歯根にできるむし歯)になるケースも多くあります。
歯肉退縮からおこる様々なリスクを回避するために、歯周病をしっかり治療し、歯肉退縮の進行をできるだけ食い止めることが重要です。
歯周組織である歯肉は、比較的活性化しやすく、ケアによって組織が生まれ変わる仕組みを促すことができます。
舌苔
舌苔とは、食べかすや唾液の成分、お口の中の粘膜が剥がれたもの、さまざまな細菌、白血球、色素などからなる細菌のかたまりです。
唾液の分泌量の減少で、自浄作用が低下し、舌の表面に舌苔がつきやすくなります。
舌苔をそのままにしておくと味を感じにくくなったり、味覚が変化したりすることがあります。
舌の組織には「味蕾細胞」という味の刺激を感じ取る細胞があり、加齢により50歳を過ぎたあたりから減少すると言われています。
食事の楽しみを守るためにも、舌苔のケアは重要です。
セルフケアの対応
高齢になると筋力・筋持久力の低下により、これまでできたいたお口のホームケアができなるなくということもおこります。
「シンプル」が高齢者のセルフケアでは重要なポイントになります。
お口の清掃用具の種類を増やしすぎないように工夫したり、手磨きの技術の低下が見られる場合には、電動歯ブラシを使用するのもよいでしょう。